アジア大会出場報告 ~また、この場所に立ちたい、そう思える場所~
7月に、日本ローイング協会U19ナショナルチームに本校3年次から2名の生徒が選出され、伊藤さんは 9月11日から14日に行われた2024 Asian Rowing U19 Championships(中国)に、日本代表選手として出場しまし
た。
伊藤さんは、8月9日から12日に令和6年度全国高等学校総合体育大会へ出場したローイング競技女子シングルスカルにおいて第4位に入賞しました。
全国やアジアで戦ってきた詩乃さんに、現在の気持ちを伺いました。
①「U19ナショナルチームに選出されたときの心境を教えてください。」
『昨年12月の合宿や今年3月の全国選抜でも、あまり良い結果を残せていませんでした。SBS(日本代表選考レース)ではタイムトライアルを突破できればいいなくらいの気持ちで臨みました。まさか自分がB決勝に残り、勝ち切れるとは思ってもいなかったので、喜びよりも混乱や不安のほうが圧倒的に大きかったです。』
②「実際にIHまでに、普段の練習で意識して取り組んできたことはどんなことですか?」
『5月の合宿で世界選手権の選考に落ちてからは、インターハイでの優勝を目標として練習に取り組みました。国体に出場できなかったので、高校生での全国大会における優勝のチャンスはインターハイだけでした。そのため、そこにかける思いはとても強かったです。1回1回の練習に今まで以上に集中して取り組みました。フォームの改善はもちろんのこと、UTトレーニング(有酸素運動)では、なるべく休みを取らずに心拍数を維持することを意識しました。また、周りの人や報道からの取材をうけるときに「インターハイ優勝」という目標を言葉にすることで決意を新たにし、後戻りできない状況を自分で作り出すようにしました。県大会や東北大会では、思うような漕ぎができずに目標のタイムにも届かなかったので、その時期は不安も大きかったですが、優勝するイメージトレーニングをたくさんして、メンタルを保ちました。』
③「8月のIHを終えてからアジア大会までに課題と感じたことはどんなことですか?」
『インターハイで負けたことへの悔しさと進路の選択と体調を崩していたのが重なり、あまり自分の課題と向き合う時間を作れませんでした。直前合宿にも全国優勝への未練を引きずりながら参加したので、初めは気持ちが落ちた状況でした。しかし、ダブルスカルを組むことになった選手と自分とのフィジカルの強さや技術的な面でのレベルの差に圧倒されました。とにかく練習についていくことに必死で、足を引っ張っている自分が情けなかったです。合宿の期間中は今までで一番、ボートのことだけを考えて過ごしていたので、充実はしていましたが、精神的にとてもつらかったです。』
④「アジア大会を終えた感想を聞かせてください。」
『アジア大会ではメダルを目標に頑張りました。現地で借りたオールがいつもより太くて重くてうまく扱うことができず、予選ではあまり良い感覚がつかめず焦りました。その後、オールを替えていただくことができ、レースを重ねるごとにスピードを上げていくことができ、3位になることができました。今までは、目標としてきた大会で目標となる結果を出すことができないことが多かったですが、今回は達成することができてとてもうれしかったです。ダブルスカルはシングルスカルにはない難しさがあり、心が折れそうになりましたが、勝った時の喜びの大きさは難しかった分、大きかったです。クルーボートの面白さをこの大会を通して知ることができました。また、海外の選手と交流することができ、文化の違いを知ることができたこともよい経験になりました。いつかまた逢えたらいいなと思います。』
「また、(アジア大会に)行きたいです(出場したい)。」そう答えた、彼女の眼差しは、確かに次のステージに向かっているようでした。
今後の活躍を大いに期待しています!